次に、こし餡の作り方を学びます。
その名の通り、裏漉しされた、なめらかでやわらかな口当たりの餡です。
茶席菓子に用いられることが多く、最も使用頻度の高い餡と言えます。
さっそく作り方をマスターしていきましょう。

こし餡の作り方
①選別と水洗いが終わった小豆と、小豆に対して約1.5倍の量の水を鍋に入れ、火にかけます。
②強火で沸騰するまで沸かしたら、豆が浮いてきて、全体量の9割くらいの豆にシワがよるまで、小豆を煮ます。
③②のような状態を確認したら、お湯の温度が50℃ほどに下がるよう、一気に差し水(びっくり水)をします。
これを行うことで、小豆の中の胚芽のたんぱく質が壊れ、水分を吸収しやすくなります。
④差し水をしたら、小豆の上2cmくらいまでお湯が被る量を残し、すぐに鍋からお湯を取り除きます。
⑤再び沸騰したら、3分ほど煮て差し水を行います。
小豆の皮のシワが伸び、最初の豆の2倍くらいに膨らむまで、③~④を数回繰り返します。
※最初の上水は、まだ胚芽のたんぱく質が壊れていないので澄んだ淡い茶色をしていますが、繰り返すうちにだんだんと色が濃くなってきます。
小豆の質によっても回数が変わりますが、状態をみながら3~5回程度行うとよいでしょう。
茹で過ぎると、豆が潰れて中身(呉)が出てしまうので注意が必要です。
⑥ざるにあけて、煮汁を切ります。
その後、小豆の表明についている渋をきれいに取り除くため、しっかりと十分な水をかけて洗い流します。
餡の風味が悪くなる原因の苦味や渋味を取り除くこの作業を、『渋切り』と言います。
⑦渋切りが終わったら、小豆を鍋に戻し、小豆の2倍ほどのたっぷりの水を入れ強火にかけます。
沸騰後、弱火にして、指で豆が潰せるくらいの柔らかさになるまで茹でます。
この時、常に小豆がゆで汁の中にあるよう、時々水を加えながら茹でることが大切です。
※小豆の粒をなるべく潰さないように気を付けながら茹で、指で潰せるくらいの柔らかさにします。
⑧大きめのボウルにざるを重ね、そこに茹でた小豆を移します。
お玉などの背を使い、小豆を押しつぶして濾していきます。
※時々水を掛けながら、小豆の中身(呉)をしっかり出し、皮だけが残るようにします。
ボウルの下に落とした呉を、絹ふるいや馬毛の濾し器などの更に目の細かい濾し器に通し、細かい皮や不純物を取り除きます。
手で触れる熱さになったら、米とぎをするように手で混ぜ、時々水も流しながら行うとよいでしょう。
⑨全て濾し終わったら、呉が入ったボウルにたっぷりの水を注ぎます。
しばらくそのまま置き、呉が沈むのを待ちます。
呉が沈んだら、呉が流れないように注意しながら、上水をそっと捨てます。
⑩上水が透き通り、下に沈んでいる呉が見えるようになるまで、⑨を数回繰り返します。
上水が透き通ったら、呉を絞り袋やさらしに受けます。
さらしでかたく絞った後、まな板などに体重をかけるように強く押し付け、しっかり水分を切ります。さらしに残ったものを【生餡】と言います。
11.鍋に、出来上がった生餡の半量と砂糖を入れ、強火にかけます。
焦がさないよう気を付けながら、鍋全体を混ぜます。
全体が沸騰したら、残りの半量の生餡も加えて炊きます。
※砂糖は甘さ控えめが好みの場合は小豆よりやや少ない量に、甘みをしっかりつけたい場合は小豆と同量かそれ以上加えるといいでしょう。
餡をすくって落としたときに、ポテっと落ちて山のようになったら、炊きあがりです。
火を止め、鍋肌に餡を貼り付け、粗熱をとるとともに、余分な水分もとばします。
小分けにして、バットなどに移して冷ましたら完成です。
