Lesson8‐3 餡作りの基礎 <粒餡>

いよいよ餡作りを学習していきます。

まずは、小豆粒餡です。

小豆粒餡は、小豆の粒が残り、豆の風味が生きた最も基本的な餡です。

豆の形をしっかり残した粒餡と、少し煮崩して炊き上げる「潰し餡」があります。

粒餡の作り方

①選別と水洗いが終わった小豆と、小豆に対して約1.5倍の量の水を鍋に入れ、火にかけます。

②強火で沸騰するまで沸かしたら、豆が浮いてきて、全体量の9割くらいの豆にシワがよるまで、小豆を煮ます。

③②のような状態を確認したら、お湯の温度が50℃ほどに下がるよう、一気に差し水(びっくり水)をします。
これを行うことで、小豆の中の胚芽のたんぱく質が壊れ、水分を吸収しやすくなります。

④差し水をしたら、小豆の上2cmくらいまでお湯が被る量だけを残し、それ以外のお湯を取り除きます。再び沸騰したら、3分ほど煮て差し水を行います。

⑤小豆の皮のシワが伸び、最初の豆の2倍くらいに膨らむまで、③~④を数回繰り返します。

※最初の上水は、まだ胚芽のたんぱく質が壊れていないので澄んだ淡い茶色をしていますが、繰り返すうちにだんだんと色が濃くなってきます。
小豆の質によっても回数が変わりますが、状態をみながら3~5回程度行うとよいでしょう。
茹で過ぎると、豆が潰れて中身(呉)が出てしまうので注意が必要です。

⑥ざるにあけて、煮汁を切ります。
その後、小豆の表面についている渋をきれいに取り除くため、しっかりと十分な水をかけて洗い流します。
餡の風味が悪くなる原因の苦味や渋味を取り除くこの作業を、『渋切り』と言います。

⑦渋切りが終わったら、小豆を鍋に戻し、小豆の2倍ほどのたっぷりの水を入れ強火にかけます。
沸騰後、弱火にして、指で豆が潰せるくらいの柔らかさになるまで茹でます。
この時、常に小豆がゆで汁の中にあるよう、時々水を加えながら茹でることが大切です。

⑧茹で上がったら、たっぷりの水を張ったボウルに小豆をそっと移します。

⑨小豆を潰さないように気を付けながら軽くまぜ、そのまま豆がボウルの底に沈むまで放置します。
小豆が沈んだら、静かに上水を捨て、再度きれいな水を張ったボウルに小豆を移します。
これを、上水が半透明になるまで数回繰り返します。
この工程を「水さらし」と言います。
さらし過ぎると風味が落ちてしまうので注意しましょう。

⑩上水を捨てた小豆を、さらし布を張ったボウルに移します。
小豆の粒を潰さないように気を付けて、さらし布で包み絞るようにして水分を切っていきます。
この水分を切る脱水の工程も、適度な加減で行います。
強く脱水し過ぎると、旨味まで流れてしまいますが、逆に水分が多すぎると劣化や変質を招きやすくなるため、力加減に気を付けましょう。

11.鍋に、水気を切ったゆで小豆と砂糖を入れ、小豆が焦げないように気を付けながら強火で加熱します。
鍋を振って砂糖を小豆にしっかり馴染ませましょう。

※豆のでんぷんは、85℃以上で水分と糖分を吸い糊のようになります。
この変化により、口当たりの良いなめらかな餡になるため、この強火がポイントです。

※砂糖は甘さ控えめが好みの場合は小豆よりやや少ない量に、甘みをしっかりつけたい場合は小豆と同量かそれ以上加えるといいでしょう。

12.小豆の粒を潰さないよう、そっと鍋底から木べらでかき混ぜます。
砂糖が完全に溶け、沸騰したら、出てきた灰汁を取り除きながら煮詰めていきます。

木べらですくい落としたときに、かたまりでポタっと落ちるくらいのかたさを目安に炊き上げます。

炊きあがったら、余分な水分を取り除くために、小分けにして木製のまな板などに取り出します。

粗熱が取れたら、バットなどの平らな容器に移し、かたく絞ったさらしをかぶせて完全に冷まして完成です。