Lesson8 ‐2 和菓子作りの基礎 餡作りの前に

和菓子の命≪餡作り≫

和菓子は餡が命とよくいわれます。

ここからは、そんな和菓子の基本となる餡について詳しく学習していきます。

餡の作り方を学ぶ前に、餡の基礎知識についてまずは少し触れてみたいと思います。

小豆の歴史

餡の原料である小豆は、弥生時代に稲作と共に日本に伝えられたといわれています。

中国では、この小豆の赤い色が『陽』を表し、『陰』を封じ込めると考えられており、
古くから魔よけや厄除けとして、小豆が用いられてきました。
そのため、無病息災などを祈る行事などでは、小豆を使った料理などが多く用意されたのです。

その考えはそのまま日本でも受け継がれ、水無月やおはぎなど、Lesson3や4で学んだように、多くの和菓子に取り入れられています。

餡の品質を決めるものは

次に、小豆についてみていきましょう。

日本には、いくつかの良質な小豆の主要な産地があります。

北海道や丹波、備中などです。

小豆はとてもデリケートな作物で、育てられた場所の土壌や気候、保存状況によっても、品質に大きな差が生まれます。

そのため、同一地域で栽培された小豆であっても、ほとんど同じ品質のものはありません。

そのような中でも、和菓子の味を決める餡を様々な条件を見ながら同じ品質で作っていく
和菓子職人の知識と経験は、とても素晴らしいものだといえます。

餡作りをする際の、小豆を選ぶポイントをいくつか挙げてみましょう。

  • なるべく、同一産地のもので揃える
  • 煮えムラを防ぎ、餡の色や食感を均一にするため、粒の大きさと色味をなるべく揃える
  • 保存条件がよいものを選ぶ

選ぶ際には以上のような点に気を付けましょう。

和菓子に合った餡選び

種類が様々ある餡は、作る和菓子の種類によって使い分け、その味の違いを楽しむとよいでしょう。

豆選びも大切です。
例えば、なめらかな舌触りのこし餡なら、粒が小さく香りが良い小豆がおすすめです。
粒の食感と豆のうまみを楽しみたい粒餡の場合は、大粒で見栄えのよい小豆が良いでしょう。

白餡を作るときにも、豆を使い分けると良いでしょう。

白餡は、白小豆・ 手芒 (てぼ)・大福豆など、白いんげん豆系が代表的なものです。

白小豆は、最高級の白あん材料といわれています。
皮が柔らかく小粒で、赤色小豆に近い豆です。

手芒とは、インゲン豆の一種です。
あっさりと品のよい白餡を作ることができます。

白花いんげんは、豆が大粒なので、その存在感を活かした煮豆や甘納豆に向いています。

餡のかたさもポイントです。
作る和菓子によってかたさを変えると、より一層おいしくなり、和菓子を楽しめるでしょう。

例えば、桜餅や椿餅は、かためでほっくりした餡。
饅頭やお餅であれば、しっとりした餡。
皮がしっかりしたどら焼きにはやわらかめの餡が向いています。

豆の選別

まず、餡作りの前に、使用する豆の選別を行います。

おいしい餡を作るためには欠かせない工程ですので、しっかりとポイントを押さえていきましょう。

最初に、目視による選別を行います。
美味しい餡を作るために、表面が艶やかで、粒の大きさも揃っている良い豆を選びます。

変色や欠け、虫食いなどがある豆は、見栄えだけでなく、風味を落とすことになってしまいます。
また、均等に煮えないことで食感も悪くなりやすい傾向にあるので注意しましょう。

選別した豆を水洗いする際に浮いてきた豆も取り除くと良いでしょう。


以上が餡に関する基礎知識です。
これをしっかりと身につけているかどうかで、餡や和菓子の味も大きく変わってきますよ。

それではいよいよ次のページからは、実際の餡の作り方を学習していきましょう。