茶席菓子の代表ともいえる、練切とこなし。
このページでは、その作り方の違いをみくらべてみましょう。
練切
練切は、関東の茶席菓子で多く用いられます。
餡に餅生地を加えて練り上げることが特徴です。
練り切り餡では主に和菓子の綺麗な表面を作ることができます。
その中でも、代表的な2種類の練切餡の作り方を学びましょう。
【求肥つなぎ練切餡】
練切餡の中でも一番多く使われるのが、この「求肥つなぎ練切餡」です。
作り方を見ていきましょう。

作り方
- 白玉粉1に対して砂糖2、水2の割合で求肥を作ります。
- 鍋に白こし餡を入れ、少量の水も加えて火にかけます。
- 白餡が柔らかくなったら、木べらでよく練ります。
- 次に求肥を加えて練り、餡のかたさや熱の入り具合をよく確認し、水飴の量を調整しながら加えて、練り上げます。
- 出来上がった餡を、毛ぶるいなどで濾します。
- 餡に空気を含ませ、熱が抜けるまで、よく揉みます。
こうすることで、餡がより白く仕上がり、着色したときにきれいな色を出すことができます。
【薯蕷(じょうよ)つなぎ練切餡】
薯蕷(じょうよ)=長芋類 をつなぎに使用することで、求肥つなぎとは異なった風味と口当たりを感じる餡になります。
白餡を足さずに、薯蕷と砂糖のみでそのまま練り切り餡として使用する場合もあります。
作り方
- 大和芋またはつくね芋は、よく水洗いをした後、厚めに皮をむきます。
もう一度よく水洗いをして、蒸しムラができないよう、同じ大きさになるように切り分けます。 - 串がスッと通るくらいのやわらかさになるまで、せいろで蒸します。
- かたく絞った布巾の上に毛ぶるいなどを置き、蒸し上がった大和芋を裏漉しします。
下に落ちた裏漉しした大和芋を、一旦布巾でまとめ、再度裏漉しします。
芋には繊維があるため、その繊維をほぐしてやわらかな食感を出すため、この作業を3回ほど繰り返します。 - 3回ほど裏漉しが済んだ大和芋を、空気に触れないようにしっかりとビニールシートなどで包んでおきます。この時、熱も逃がさないように注意しましょう。
- 鍋に白こし餡と砂糖を入れ、かために練り上げます。
(砂糖の量は餡と同量から8割程度) - 5.に4.を加え、しっかりと混ぜます。
(使用したい硬さに合わせて4.を入れる量は調整します) - よく混ぜ合わさったら火を止め、シートを敷いた板の上に小分けにしながら取り出します。
小分けにした餡に空気を含むように揉み、さらに小分けにして揉む…という作業を数回繰り返し、粗熱をとっていきます。
求肥つなぎ練切餡と同様、空気を含ませることで、着色したときに色が映える、白い餡を作ることができます。 - 粗熱が取れたら、冷蔵庫で保管します。
練切餡の着色方法
色素を直接生地に落とします。
その後、手の中や台、ボウルの中で揉みこみ、ムラなくなじませていきます。

こなし生地
練り切り餡にかわって、こちらは関西の茶席菓子に多く用いられます。
こし餡に小麦粉や上用粉などを混ぜて蒸し上げますので練切餡に比べ、少しもちっとしています。
作り方
- かために炊いた白濾し餡に、薄力粉、上用粉、砂糖を加えて、手でよく混ぜます。
粉っぽさがなくなるまで、しっかり混ぜ合わせます。
(白餡100gに対して薄力粉7g 上用粉3g 砂糖3g 程度が目安) - 小分けにした生地をせいろに並べ、約30分ほど蒸します。
- 蒸し上がった生地をさらしごと取り出します。
熱が冷めないうちに、そのさらしを使って生地を1つにまとめます。 - 砂糖1:水2の割合で作ったシロップを、作業台と手に付けて、生地が熱いうちに均一になるよう揉みこみます。
- 平らにし、表面にシロップを塗り、常温で冷まします。
こなし生地の着色方法
練切餡とは異なり、生地に直接色素は落とさないようにしましょう。
作業台にシロップを塗り、そこに色素を落とします。
そして、そのうえで生地を捏ね、揉みこむようにして着色していきます。
色素を直接生地に落としてしまうと、捏ねるところで時間がかかってしまいます。
そうなると生地が柔らかくなり食感が損なわれてしまうので気を付けましょう。