Lesson2‐2 和菓子に使われる材料の分類

前のページでは、和菓子の分類について学習しました。

今回は、和菓子を作る際に使用する粉類や素材について学んでいきます。

のちのLessonでは、レシピも紹介します。
より理解を深めるために、この基礎部分をしっかりと学習していきましょう。

粉類について

和菓子作りに欠かせない粉類は、様々な名前で呼ばれています。

それらはどのような原料からできているのでしょうか。

米粉

  • うるち米
    • 上用粉:うるち米を洗い、乾燥させて製粉したもの。
      上新粉よりきめが細かく、さらさらした優しい感じが特徴です。
      最上の粉とされ、高級和菓子に使われます。
      上用粉を使った生地はくちどけが良く、外郎や薯蕷饅頭などの上生菓子に最適です。
    • 上新粉:上用粉よりも目が粗いが、うるち米の風味が生きる粉。
      蒸して捏ねたりついたりすると、弾力のあるコシの強い生地になり、
      歯ごたえもあるので団子や草餅に使われることが多いです。
  • もち米
    • 餅粉:生のもち米を洗い、乾燥させて粉にしたもの。もち菓子や外郎などに使われます。
      冷めても固くなりにくい特徴があり、『ぎゅうひ粉』や『羽二重粉』とも呼ばれます。
    • 白玉粉:もち米を水洗いし、石臼でひいてからさらし、乾燥させたもの。
      製粉にとても手間がかかります。昔は寒い時期だけに作られていたので『寒晒し粉』とも呼ばれています。
      もちもちした食感、上品なやわらかさとあっさり感があるので、花びら餅の求肥や白玉団子に向いています。
    • 道明寺粉:もち米を蒸し上げて乾燥させてから砕いたもの。
      大きめの粒が特徴で、粒の大きさにより『三ツ割』『五ツ割』と分けることができます。
      桜餅や椿餅に使われます。
      おはぎなどには大粒なものを、桜餅や上生菓子にはやや細かめの粒のものを選ぶとよいでしょう。
    • 新挽粉:道明寺粉をさらに細かくして煎ったもの。
      『荒粉』『味甚粉(みじんこ)』『いら粉』とも呼ばれます。
    • 寒梅粉:もち米を蒸し、焼いたものを粉状にしたもの。
      既に火が入っているため、加熱せずに使うことが可能です。
      寒梅が咲く頃、もち米の新米を使い粉にしたことにちなんでいます。
      『みじん粉』とよぶ地域もあります。

薄力粉

小麦粉の一種。
グルテンの量で、強力粉・中力粉・薄力粉と分けられます。
和菓子で使われるのは主に薄力粉です。
カステラや焼菓子、手粉などにも使われます。

葛粉

マメ科の多年草・葛の根からとれるでんぷんを乾燥させて粉にしたもの。
じゃがいもなど、他のでんぷんを混ぜたものもあるため、葛のでんぷんのみで作られたものを『本葛』と呼び、区別しています。

わらび粉

わらびの根からとれるでんぷんを乾燥させて粉にしたもの。
粘り気が強く、弾力があり、なめらかな食感になるのが特徴です。

そば粉

そばの実から作られる粉。

はったい粉

大麦を煎って粉に挽いたもの。
『麦こがし』とも呼ばれます。

甘味料について

砂糖がなかった古代は、ツタの樹液を煮詰めて作られた『甘葛(あまづら)』を甘味料として用いていたという記録があります。

現在使われている主な甘味料についてみてみましょう。

上白糖

一般によく使われる砂糖で、白砂糖ともいわれています。
粒が細かく、しっとりとしています。

黒砂糖

サトウキビの絞り汁を煮詰めて作る、黒褐色の砂糖。
主に沖縄で作られています。
精製していないため、ビタミンやミネラルが豊富で、独特の香りと風味があります。

和三盆糖

徳島県や香川県で、伝統的な製法で作られているクリーム色の砂糖。
細かい結晶のため、くちどけがとても良く、豊かな風味と香りが特徴です。

水飴

でんぷんから作られる液状の甘味。粘り気があり、保水力に優れています。
しっとり感やつやを出すためにも使われます。


以上、このページでは和菓子で使用される粉類・砂糖の種類について学びました。
この知識も和菓子を知るためには必要不可欠な基礎知識ですので、しっかりと身につけましょう。

次のページでは基本的な和菓子のそれぞれの特徴について学んでいきます。