『和菓子』と聞いて、まず最初に思い浮かべるお菓子は何でしょうか。
和菓子の代表的なものとして、『羊羹』や『饅頭』、『餅』などがあげられます。
Lesson2では、和菓子の分類や種類について、学んでいきたいと思います。

水分量による分類
和菓子は、水分量や製法によって、様々に分類されます。
まず、水分量による分類です。
これは、大きく分けて以下の3種類があります。
- 干菓子…水分量が10%以下のもの
- 打ち物(落雁・雲錦物・懐中汁粉など)
- 押し物(塩釜・村雨など)
- 焼き物(ぼうろ・煎餅など)
- 飴物(有平糖・翁飴など)
- 掛け物(おこし・砂糖漬けなど)
- 半生菓子…水分量が10~30%のもの
- 流し物(羊羹・錦玉羹など)
- 岡物(最中・鹿の子・州浜など)
- 練り物(求肥など)
- 焼き物(桃山・茶通など)
- 飴物(石衣など)
- 生菓子…水分量が30%以上のもの
- 餅物(おはぎ・柏餅・赤飯など)
- 蒸し物(外郎・蒸し饅頭・蒸し羊羹など)
- 焼き物(どら焼き・きんつば・カステラなど)
- 流し物(羊羹・錦玉羹など)
- 練り物(練切・こなし・求肥など)
- 揚げ物(餡ドーナツなど)
このように見てみると、例えば同じ『焼き物』でも、含まれる水分量によって分類が変わることがよくわかると思います。
これは、完成した和菓子の水分量を基準にした分類法です。
製法による分類
次に、製法による分類を見ていきましょう。
餅物
もち米を蒸してついたもの。
または、うるち米や小麦粉・葛粉などほかの材料を主原料とするものでも、粘度のある生地の菓子は餅物の扱いとすることが多いです。
例:大福・道明寺粉製桜餅・柏餅・素甘(すあま)・わらび餅・おはぎなど

蒸し物
蒸し上げて作るもので、蒸菓子とも言われます。
例:薯蕷饅頭・蒸し羊羹・粽・葛饅頭・黄身しぐれなど

焼き物
焼菓子とも言われる、その名の通り焼いて作る菓子のことです。
使う道具によって、平鍋物・オーブン物などに分けられます。
例:
平鍋物:どら焼き・きんつば・小麦粉製桜餅など
オーブン物:桃山・カステラ・栗饅頭など

流し物
寒天などの液状の生地を型に流しいれて作るものをいいます。
例:練り羊羹・水羊羹・錦玉羹など

煉り物
粉や餡につなぎを加えて煉り上げたものを指します。
『煉』は火にかけて捏ねる作業が入るものに使われますが、現在では『練』の字もよく使われるようになりました。
例:練切・求肥・こなし・雪平など

揚げ物
油で揚げて作られた菓子のことです。
例:餡ドーナツ・揚げ月餅など

岡物
火を使わずに台上で作られたことから、このように呼ばわれるようになったと言われています。
異なる素材を組み合わせて作るお菓子のことです。
例:最中・州浜(すはま)など

打物
粉類に砂糖を加えて、模様が刻まれた木型に入れて打ち出した菓子で、干菓子の代表格と言えます。
表面に軽く蒸気をあてて、乾燥させています。
例:落雁・片栗物
押物
材料を木型に押し固めて作る菓子のこと、または押し出した後に切り分けるものも含みます。
打ち物よりも水分が多く、くちどけが良いのが特徴です。
例:塩釜・村雨など

掛物
砂糖やすり蜜などの衣を掛けて仕上げた菓子のことです。
例:おこし・おめで糖など

飴物
砂糖や水飴を煮詰め、着色や成型をして作る菓子のことです。
例:有平糖・翁飴など

棹物
舟と呼ばれる型に生地を流し込み、細長く棒状に作った菓子を言います。
例:羊羹・外郎など

寄せ物
果物や豆類を寒天などで寄せ固めたものを言います。
例:錦玉羹など

以上が、製法による分類です。
作り方や使用する材料により、分類は今あげたもの以外にも様々あります。
組み合わせ方により、和菓子の種類は数万種類にもなるといわれているのです。
次のページでは、材料に使われる粉の種類などを学習していきましょう。