Lesson7-1 和菓子の保存方法

ここまでのLessonでは、和菓子の歴史から四季折々の和菓子や行事との関係、
各地の和菓子の特色など、多くのことを学習してきました。

和菓子についての理解はしっかりと深まったでしょうか。

今回からのLesson7では、今までのLessonに載せきれなかった、知っておくと更に和菓子を楽しめる、そんな豆知識を解説します。

和菓子をまた違った角度から学んでみましょう。

和菓子はどれくらい保存できる?

和菓子は、しっとりしているものも多く、早く食べてしまわないといけないものという印象がありますね。

しかし、表示を見てみると、羊羹など種類によっては、賞味期限が長く取られているものもあります。

和菓子をたくさんいただいたけれど、すぐに全てを食べられない、長く楽しみたい、
そんな時に知っていると役立つ、和菓子の賞味期限について解説します。

まず大前提として、和菓子はその日のうちにいただくのが一番美味しいです。

しかし、桃山や栗饅頭など、餡が包まれている和菓子は、作りたてよりも翌日の方が餡と生地が馴染んで、より美味しくいただける場合もあります。

和菓子の世界の業界用語に「朝生菓子」という言葉があります。

大福や団子など、主にでんぷんを主とする和菓子は、やはり時間が経つとともに硬くなりやすく、
朝作ったものをその日のうちに食べたほうが良いとされており、このような種類のものを「朝生菓子」と言います。

では、具体的な消費期限についてみてきましょう。

練切

  • 常温…当日
  • 冷蔵…2日程度(食べる1時間前には冷蔵庫から出して常温にする)
  • 冷凍…可能

大福

  • 常温…1~2日
  • 冷蔵…不可
  • 冷凍…可能

栗蒸し羊羹

  • 常温…1~2日
  • 冷蔵…不可
  • 冷凍…可能

黄身しぐれ

  • 常温…2~3日
  • 冷蔵…不可
  • 冷凍…不可

薯蕷饅頭

  • 常温…1~2日
  • 冷蔵…不可
  • 冷凍…可能

以上は代表的なものになりますが、このように見てみると、常温では1~2日が多いのに対し、
意外にも冷凍保存が可能であることがわかります。

先ほど少し触れましたが、でんぷんを使うことが多い和菓子は、基本的には冷蔵を苦手とします。
しかし、冷凍保存であれば多少風味の劣化はあるものの、一定期間はその美味しさを保つことが可能なのです。

冷凍保存するときのポイントは、

  • いただいたらなるべく早めに
  • 小分けにして
  • 形などが崩れやすいものは、密閉容器などに入れて

保存すると良いでしょう。

葛焼、おはぎ、黄身しぐれなどは冷凍に向きませんので、注意しましょう。

冷凍保存した和菓子を食べる時には、常温で2~3時間ほど解凍します。

きんとん製、羊羹製、餅製など、ほとんどの和菓子は常温で解凍できますが、粽や葛製のものなどは蒸気解凍が向いています。

一度解凍したものの再冷凍は避け、劣化も早くなるので、なるべく早めにいただきましょう。

冷凍保存の目安は1ヶ月としてください。

和菓子に適した保存方法とは?

半生菓子・生菓子は、日当たりの良いところは避け、比較的涼しいところで保管しましょう。

干菓子は、水分やにおいを吸着しやすいため、湿気や直射日光を避け、においの強いもののそばには置かないように気を付けます。

最後に、万が一傷んでしまったときの見分け方をお伝えします。

水分量が多い生菓子は、傷みやすく、また見た目にもカビが生えたりと、その変化がわかりやすいでしょう。

やや水分量が少ない半生菓子も、種類により水分量の差が大きいので注意が必要です。
最中などの餡が使われた和菓子の場合は、餡から傷みやすいので気を付けましょう。

餡は栄養が豊富なため、酵母や細菌が繁殖しやすく、不快なにおいやねばつきがないか確認しましょう。

干菓子は、水分量が少ないですが、水に濡れた部分からカビが生えたり、虫に食べられてしまう場合があります。
また、見た目にはわからなくても湿気って味が落ちてしまう場合もあります。

以上の点に気を付けて、正しく和菓子を保存して、美味しくいただきましょう。