昔から日本では、その土地の気候や風土を生かし、農業などが発展してきました。
それは、和菓子の世界にも共通して言えることです。
このページから始まるLesson5では、それぞれの地方ならではの菓子と、その特徴について学んでいきます。
まず初めに、広大な大地・豊かな自然に恵まれた北海道・東北地方での、特産物を生かした菓子をみていきましょう。
北海道に伝わる和菓子
北海道では、以前はもち米がとれなかった為、
じゃがいもやかぼちゃを茹でて片栗粉などを混ぜてすりつぶした『いももち』や『かぼちゃだんご』が作られていました。
今でも、おやつや軽食として親しまれています。

また、江戸時代には本州から移り住んだ人々の子孫が小豆の栽培を始めたと言われており、
今や北海道は小豆の大産地となっています。
道南地域では、端午の節句に『べこ餅』が食べられています。
黒砂糖と上新粉を混ぜた生地と、白砂糖で作られた生地を半々に合わせた見た目から、
べこ(牛を意味する方言)を連想させるため、このような名になったと言われています。

東北地方に伝わる和菓子
青森県
青森県で有名な『くじら餅』は、室町時代に、カステラや金平糖と共に発祥したと言われています。
京菓子であったくじら餅は、北前船によって津軽地方に伝えられました。
当時は、白と黒の断面がくじらに似ていることからこう呼ばれましたが、
今は米粉とこし餡、砂糖、くるみを合わせて捏ね、蒸し上げたものが主流となっています。
くじら餅は、山形県にも伝わっています。
秋田県
秋田県には、『豆腐カステラ』という、豆腐を菓子にして食べる珍しいお菓子があります。
これは、水を絞ってすりつぶした豆腐に、片栗粉と砂糖、卵を混ぜて焼いたもので、結婚式などのハレの日に作られたものでした。
砂糖の効果で、1週間ほど日持ちします。
県南部には裕福な地主が多かったことから、砂糖が貴重で高級品だった江戸時代でも、
砂糖を多く使って作るこの豆腐カステラがよく作られたといわれています。
山形県
山形県の鶴岡銘菓の『きつねめん』は、三角形のきつねのお面を交互に並べたような形をした小豆粉の打ち菓子です。
これは、江戸時代に藩主の交代に抵抗し撤回させた領民が、藩主の『居成り』を『稲荷』にかけ、
きつねのお面を作り献上したことが始まりとされています。
岩手県
岩手県といえば、有名な『南部せんべい』。
この南部せんべいの歴史は古く、南北朝時代に遡ります。
争乱を逃れて奥州を訪れた長慶天皇に、家臣がそば粉で作ったせんべいを、自分の兜で焼いて献上したことが発祥と言われています。

宮城県
製塩地だった宮城県塩竃市近辺では、その地名にちなみ『しおがま』という和菓子があります。
みじん粉に、砂糖や塩を加え固めた干菓子です。
現在は、それに紫蘇の粉末を加えていますが、昔は藻塩草を入れていたようです。

塩竃神社の祭神が製法を伝えたという伝承も残っており、塩竃神社の参道で地元名物として売られています。

福島県
福島県柳津町の圓蔵寺の参拝土産として有名な『あわまんじゅう』があります。
これは、自然災害が続いたときに、二度と災害に『あわ』ないように、と当時の住職さんが作り、
災難除けの護符として配り始めたことが発祥と考えられています。
粟のプチプチとした食感を感じることができます。
